プロスポーツクラブ経営 – CFOの視点から –
プロスポーツのクラブ経営においては、様々なステークホルダーが存在します。例えば、各地域に根ざして活動しているJリーグやBリーグのクラブチームは、クラブの株主、ファン (サポーター、ブースター)、スポンサー企業、リーグ機構、地元自治体や市民、後援会、地元協会、選手、クラブスタッフ、銀行…など、多くのステークホルダーに支えられています。
ステークホルダーを資金調達という切り口で見た場合、出資をしている株主、クラブに融資をしている銀行に加え、会計上は売上に計上されている協賛金を出しているスポンサー企業は、資金提供者として、スポーツクラブにとって非常に重要なステークホルダーであると言えます。
特に、ユニフォームの胸や背中に企業名を載せて、その対価として高額の協賛金を長年提供してクラブ経営をサポートしているスポンサー企業は、資金の出し手という意味では、メインバンク以上であると考えることもできます。
銀行から借入れをした場合、金利を支払いながら元本を返していかなくてはいけませんが、スポンサー企業は、毎年、新たな資金(ニューマネー)をクラブに提供してくれます。そして、クラブが強くなりブランド力が上がれば、その金額は大きくなっていきます。
そうであるならば、スポーツクラブの経営において、スポンサー企業への、いわゆる”IR”活動はとても重要となります。金融市場の投資家及び金融機関が異なる尺度で投資や融資を行うのと同様、各スポンサー企業もそれぞれ異なる目的で資金を提供していますので、それに合わせたきめ細かな”IR”活動が必要となり、そのためには双方向のコミュニケーションが大切だと思います。
ちなみに、チケットやグッズ等の購入という形でクラブに資金を提供してそのクラブを熱烈にサポートし、時には厳しく叱責してくれる大変重要なステークホルダーであるファンの方々は、上場企業にとってのロイヤリティーの高い個人株主に似ているかもしれません。
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