ダイバーシティー 〜ロールモデルの重要性〜

外資系証券会社に新卒で入社し、その後、多くの女性上司のもとで働く機会に恵まれました。

活躍されていた日本人の女性の上司をはじめ、幼いお子さんをロンドンの家に残して、定期的に東京に出張されて来た方、出産後もニューヨークで責任ある職務を務めながら育児と両立されていた方……

お客様へ訪問する途中のタクシーの中や食事を一緒にする時などに、彼女たちから、どのような苦労とやり甲斐、そして仕事への姿勢について聞くことがあり、大変多くの事を学びました。そして、その後の自分の仕事人生に大きな影響を与えてくれました。

「ロールモデル」の存在はとても大切であり、日本の企業社会において活躍する女性のロールモデルが非常に少ないことが、大きな課題であると思います。

「あの人のように」と思えるロールモデルが上にいないと、不安を抱え、モチベーションを維持していくことが困難になることがあるのではないかと思います。

形と程度は異なりますが、私自身、日本に進出してそれほど経っていない外資系証券会社に、英語が出来ない状態で新卒入社し、上に日本人の新卒先輩社員がほとんどいない中で、その後のキャリアパス、将来に、働きながら不安を感じたことがあった自分とダブル感覚を覚えます。

その後、自分も責任ある職務に就き、会社が行う女性社員の活躍の推進に試行錯誤をしながら取り組んでいた時に、これまでお世話になってきた女性の上司の方々を参考に出来るロールモデルの一つとして、その個人個人の状況に合わせて、女性のチームメンバーに伝えてきました。

ある時、いつも率直に意見を言ってくれていた香港オフィスの女性のチームメンバーの一人から、「Shigeki、もっと単純に。そもそも男性と女性は、この世の中、半分半分なんだからさ!」と笑いながら言われた言葉を、いつも思い出します。

商品、サービスを提供する上で、そのマーケットは、当たり前のごとく男性50、女性50。働く人材も同様。

特に、男性と女性は異なるわけですから、そのお互いの考えを取り入れたサービス、商品の開発を行わなければ、企業は競争力を失っていきます。それは、ジェンダーだけではなく、年齢、言葉、国籍、仕事経験、文化等の違いを含めたダイバーシティーの重要性に繋がります。

その理解があれば、企業がどの方向に進み、今後何をなすべきかは自ずと明らかで、表面的な形、数字だけの問題ではないと思います。

相原 滋樹Shigeki Aihara

ジュピター・アンド・カンパニー株式会社 
代表取締役

ゴールドマン・サックス証券会社にて20年間勤務し、同社アジアパシフィック担当財務責任者を務める。2011年ジュピター・キャピタル・マネジメント株式会社(当時)を設立。RIZAPグループ株式会社財務戦略のサポートに従事し、2018年株式会社ウイルグループ執行役員CFOに就任。2021年株式会社お金のデザインChief Strategy Officerに就任。

一覧へ戻る