水とジーンズ

オーダースーツの店を経営する知人から、ジーンズのオーダーを始めたと連絡がありました。

一般の方々と背格好が異なる私にとってはとても魅力的で、値段もあまり高くないようなので、さっそく購入を考えました。が、同時に、購入を躊躇する気持ちが生まれてきました。

それは、服を作る時に必要な水の問題が気になったからです。

服を作るためには大量の水を必要とします。

例えばTシャツ一枚のために、一人の人間が飲む3年分の水が使われ、ジーンズはさらに大量の水を消費すると言われています。

そして、衣類の染色と仕上げの工程で生じる廃水は、世界中の廃水のおよそ20%を占めると報告され、ファッション業界において大きな課題となっています。

購入に躊躇する自分の感覚を彼に伝えると、製造工程において、水の使用量に配慮する「ロー・ウォーター」の考えも取り入れていると話をしてくれました。

定番のジーンズであれば、今は、平日も含めて使う機会は多く、また、自分が気に入ったオーダーのジーンズであれば、体型が大きく変わらない限り、10年、15年と愛用することとなり、結果的には、環境への負荷が軽減されるのではないかと改めて考え、最終的に購入を決めました。

20年程前に初めてジーンズをオーダーした時は、このような問題意識は全くありませんでしたが、社会が変わり、それに応じて自分の環境に関する考え方の変化を認識することが、年々増えてきています。

こうした気持ち、感覚を持つ人々は少なくないでしょう。そのような個人が増えてくれば、いわゆる消費行動も変わっていきます。

「サステナビリティ」とか「気候変動」とかのビッグワードを使って大上段に構えなくても、身近なところで感じる事を一つ一つ大事にしていきたいと思います。

相原 滋樹Shigeki Aihara

ジュピター・アンド・カンパニー株式会社 
代表取締役

ゴールドマン・サックス証券会社にて20年間勤務し、同社アジアパシフィック担当財務責任者を務める。2011年ジュピター・キャピタル・マネジメント株式会社(当時)を設立。RIZAPグループ株式会社財務戦略のサポートに従事し、2018年株式会社ウイルグループ執行役員CFOに就任。2021年株式会社お金のデザインChief Strategy Officerに就任。

一覧へ戻る