アンコンシャス・バイアス
米国投資銀行でアジアパシフィックのファイナンスの責任者を務めていた際、アジアの金融市場が大きく荒れた時がありました。市場状況の意見交換のため、あるアジアの中央銀行の、日本銀行で言えば理事にあたる方を訪問しました。
部屋で待っていて現れた理事は女性で、一瞬、戸惑った自分自身を認識しました。
当時、社内であれだけダイバーシティに日々取り組んでいた自分でしたが、この時、「アンコンシャス・バイアス」が、自分にはまだまだあるのだと気づかされました。
今、考えますと、ニューヨークやロンドンとは異なり、それまで会う機会があった日本、他のアジアの国々の政府、中央銀行の高官の方々がほぼ男性だったことが、その背景にあったのだと思います。
一方で、名刺を交換した際、彼女が私の名刺の裏側にある日本語に目をやった時、「なぜ、日本人がアジアの責任者で……」と、つぶやいたことに気づきました。
彼女も、米国の会社の担当責任者が香港からやって来ると聞いて、当然、米国人か英国人が訪ねてくると思っていたのだと思います。
ダイバーシティについて完璧な人、また、「アンコンシャス・バイアス」を持たない人など、この地球上に存在せず、その国、地域の慣習、文化はそれぞれ異なり、ただ一つの正解は無いと思います。
それを常に意識して、このような気づきの経験を一つ一つ重ねていくことが、大切なのではないかと考えます。
Sustainability
サステナビリティの関連記事
Latest columns