プロスポーツクラブ経営(CFOの視点から(2))〜リアル、デジタル、そしてメタバースへ〜
プロスポーツクラブの経営をファイナンス面でお手伝いをし、まず気が付いた事は、クラブの経営努力によって、チームの勝ち負けのリスクをコントロールするのは難しいというものです。
例えば、どんなに大型補強をしても優勝できる保証はなく、逆に、負けがこみ成績が下がることもあります。
チームが負けても、スタジアムまで観戦に来てくれたお客様に「また来たいな」と思ってもらえることが勝ち負けのリスクを軽減させる重要な課題であり、例えば、バスケットボールのBリーグの試合を行うアリーナでは、まるで音楽のライブ会場のような映像・音響等の演出でファンを魅きつけています。
しかし、コロナ禍のこの二年間に起きた事は、「試合自体が行われなくなる」という、もう一つのリスクが大きく顕在化し、各クラブの経営に大きな影響を与えています。
先月、ラグビーの新リーグであるLeague Oneの開幕戦やBリーグのオールスターゲームがオミクロン株感染拡大により中止になったように、今後も、試合興行の可否の不確実性を抱えたまま経営を行っていかなければならない状況です。
これまでの「リアル」中心から、オンライン上での売上を更に増やして、収益の多様化を図っていかなくてはいけないことは「マスト」であり、スポーツビジネスも他の業界と同じように、いわゆる経営のDX化が喫緊の課題です。
スポーツビジネスをコンテンツビジネスと捉えれば、テクノロジーや映像技術の進化によって、デジタル化との親和性はとても高いと思います。
昨年末に発表された、サッカーのプレミアリーグのマンチェスター・シティとソニーとの間のパートナーシップは、実世界(リアル)と仮想空間(メタバース)を融合した取り組みによって、ファンエンゲージメントを向上させてクラブの企業価値を高める、クラブ経営の「さらなるこの先」を見据えた試みだと思います。
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