「Why am I here?」〜会社という舞台〜
30代の頃、週末に役者の勉強をしていました。
演技の稽古の中で、ある先生から言われた言葉を今でも時々思い出します。
それは、映画や舞台等に無駄なシーンは一つも無く、その貴重な1シーンに出演する役者一人一人が、そのシーンに貢献しないといけない、というものです。
何故ならば、その役者の一人一人が、そのシーンに存在している理由があるからで、貢献しないのであれば、そこにいる意味はありません。それは、端役の役者でもエキストラでも同じです。
限られた予算と時間の範囲内で作品を完成させなければならない中で、報酬を払っている全ての役者にはコストがかかっています。無駄なコストを無くす意識は、企業活動と同じです。
翻って、ビジネスの世界においても、日々の会議やミーティングにおいて、出席しているメンバー一人一人は、何らかの貢献をするためにそこに存在しているのであり、特にその意識がメンバー全員に必要だと思います。
もし、出席者の中に、何も貢献していない人がいる場合、その人は、ミーティングに参加している意味は無く、また、参加するべきではなく、その時間を他の仕事に使い、企業の生産性向上に貢献する必要があります。
働き方改革によって労働時間の絶対的な時間数を減らしている中、いかに日本人の賃金を上げていくかが、今、日本の企業社会に問われています。
仮に、ある従業員、管理職の方の1日の労働時間が8時間として、そのうち、自分が何も貢献しない会議、ミーティングの出席に1時間が要された場合、それは、一日のその方の労働時間の12.5%が失われている事を意味します。そのような状況で賃上げを獲得し、それに見合う生産性向上を達成するのは、非常に難しいでしょう。
海外と比べ、日本の一人当たりの労働生産性が劣っていることが明白になった今、それぞれの企業が様々な施策を検討、実行しているかと思いますが、経営陣、管理職、一人一人の従業員それぞれのレベルにおいて、日々の仕事の中での「アウトプットと時間コスト」の重要性を認識し、その意識付けを強く持つことが重要だと思います。
「Why am I here?」
それは、映像や舞台の上で演じる役者も、会社という舞台で仕事をするビジネスパースンにとっても、常に問い続けるべき言葉だと思います。
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