オンラインも非効率なので、チャットで

「対面やZOOMのオンラインも非効率なので、コミュニケーションは基本、チャットでお願いできますか」

ハンズオンでの経営支援を依頼された、あるテクノロジー・スタートアップの創業者(ファウンダー)である社長から、最初のミーティングでこのようにリクエストされました。

私自身、オンラインでもチャットでも、コミュニケーション的には問題ありませんが、これまで若い世代とのチャットの経験から、彼ら彼女らと比べ、文字を打つスピードが遅いことが自分の課題ではありました。

エンジニアでありデジタルネイティブの社長は、F1のような彼の入力スピードを私には求めませんが「高速道路を時速150キロぐらいのスピードで」という感覚の依頼でした。

日々、チャットでのコミュニケーションを進めていくと、彼の言う通り、対面やオンラインよりも、チャットの方が非常に効率的にスピード感を持ってプロジェクトや業務が進み、オンラインの非効率性が分かってきて、彼のように考える人たちが、ある一定数いるのは当然かな、と、自分自身がやってみて見えてきたこともありました。

一方、チャットを延々と長時間やり続けることも含め、彼のコミュニケーションパターンを理解してくると、逆に、効率性、生産性が落ちる面が見えてきました。

しかし、物理的に離れている海外の方々とは、昔から「チャット」が主なコミュニケーション手段であったので、改めて大きなストレスを感じることはなく、また、今回のコミュニケーション言語は英語ではなく母国語の日本語であり、その会社のメンバーは全員同じ日本人です。

そして、月一回、対面の取締役会で必ず会い、彼と一緒に参加するお客様とのミーティングはオンライン、本当に対面が必要な時は、同じ都内なので30分以内で会えます。

また、進化し続けるテクノロジーのおかげもあり、チャットの入力スピードの差のハンディキャップを解決するする方策はいくもあり、スピード感についていく難易度は、だんだんと低くなっていると思います。

要は、どのようなコミュニケーションツールや方法を求められた時でも、それに対応できる力を持っていることが重要であり、それらのエキスパートである必要はないということです。

その力を養うためには、自分の手足を動かして、新たなツールにもチャレンジすることを常に意識しておくことが、特に、私たちの世代は必要不可欠だと思います。

そして、それは、コミュニケーションツールの話だけでなく、ビジネス環境が大きく変化し、その変化のスピードが益々早くなる現代において、ビジネスパースン誰もが、その変化に対応していける能力を培う努力をし続ける必要があるのだと思います。

相原 滋樹Shigeki Aihara

ジュピター・アンド・カンパニー株式会社 
代表取締役

ゴールドマン・サックス証券会社にて20年間勤務し、同社アジアパシフィック担当財務責任者を務める。2011年ジュピター・キャピタル・マネジメント株式会社(当時)を設立。RIZAPグループ株式会社財務戦略のサポートに従事し、2018年株式会社ウイルグループ執行役員CFOに就任。2021年株式会社お金のデザインChief Strategy Officerに就任。

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